Japanese
English
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ノバミンの皮膚疾患に対する治験
TREATMENT OF SKIN DISEASES WITH NOVAMIN
西浦 環
1
,
谷 徹郎
1
,
有田 茂
1
Tamaki NISHIURA
1
,
Tetsuro TANI
1
,
Shigeru ARITA
1
1徳島大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology and Urology, Tokushima University, School of Medicine
pp.1281-1287
発行日 1958年12月1日
Published Date 1958/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202421
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1.まえがき
皮膚疾患の発症に体内環境,特に自律神経及び内分泌系の変調が重大な意義をもつことは周知の事実である。一方吾々の日常生活は益々繁雑化しつつあり,これに対応する精神肉体医学の発展も注目すべきものがある。Selyeのalarm reactionあるいはReilly現象なども各種の病態に対する内的環境,とくに自律神経系機能の意義を大きく評価している。先に荒用教授は騒音の皮膚機能に及ぼす影響の観察から,社会の反自然的因子が体内環境に反映して,健康を損い,皮膚に投影されて皮膚障害を招来する可能性を指摘された。この様な意味からトランキライザーが医学界各面に寵用されることは当然であるし,また皮膚科領域に於ては中枢性鎮静作用に因る掻痒,疼痛の緩和と,それに基くcirculus vitiosusの遮断,加うるに消炎,抗ヒスタミン作用によつて患者の苦痛からの解放と皮疹の改善が高く評価されてよい。
トランキライザーの作用には1)中枢神経と自律神経末梢に対する作用として,抗痙攣作用,神経刺戟症状の緩和,抗シヨツク作用,抗ヒスタミン作用2)中枢に対する作用として鎮静,体温下降,発熱防止,代謝低下,条件反射の形成阻害などの作用があると云われ(神村),また中村民らはクロールプロマジン投与後,好酸球の減少と尿中17KSを増すことから,クロールプロマジンにACTH様作用のあることを論じている。
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