Japanese
English
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瘙痒性皮膚疾患に対するカルシスチンの使用経験
EFFECTS OF "CALCISTIN" UPON SOME ITCHING DERMATOSE
西村 長応
1
,
金沢 稔
1
,
安井 昌孝
1
,
川崎 晃彦
1
,
松下 昇
1
Nagao Nishimura
1
,
Minoru Kanazawa
1
,
Masataka Yasui
1
,
Akihiko Kawasaki
1
,
Noboru Mastushita
1
1和歌山県立医科大学皮膚科泌尿器科教室
1Department of Dermatology&Urology Wakayama Medical Colleg
pp.309-312
発行日 1958年3月1日
Published Date 1958/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202219
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緒言
皮膚科領域に於て湿疹程数多い疾患はないが同時に又適確な治療法も存しない疾患で,日常甚だ難治の症例に遭遇することも稀ではない。従つて新しい薬剤を従来の治療と比較して使用してみる事も無意味ではないと思う。
凡そ瘙痒と皮膚疾患は常に密接な関係にあり,瘙痒の本態に関しRothman1),Graham et al2),山碕等3)〜5)は瘙痒を起す末梢刺激は皮膚の疼痛神経終末により受容されると主張し,即ち痛覚が存在すれば痒みを発生せしめ得ると云う。従来末梢神経を刺激して瘙痒を起す毒性物質はヒスタミンおよびヒスタミン遊離物質であると云われていたが近年Shelley6)は人体皮膚表皮細胞にあるProteinaseであるCathepsinおよび血行中にあるProteinaseであるPlasminに起痒性があることを実験的に証明している。又Ungar等7)はヒスタミン遊離物質はヒスタミンのみでなく,Proteinaseも遊離さすことを証明し,遊離の活性化Proteinaseが表皮細胞に存在する知覚神経末梢を直接又は間接に刺激すると考えている。文奥野8)は滲出液が痒感と密接な関係があると主張している。かくの如く瘙痒に関する研究は最近非常に進んでいるとは云え,その本態の究明は未だ充分でなく,抗ヒスタミン剤が皮膚科領域に導入されてから約10年経過した今日に於ても種々研究改良され,治療面に多用されている現状である。
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