Japanese
English
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前立腺腫瘍に対するDiaethyldioxystilben diphosphate(Honvan)療法について
TREATMENT OF BENIGN HYPERPLASIA AND EARLY CARCINOMA OF THE PROSTATE WITH DIETHYLSTILBESTROL DIPHOSPHATE (HONVAN)
山本 弘
1
,
石原 藤太郎
1
,
北村 孝雄
1
H. Yamamoto
1
,
T. Ishihara
1
,
T. Kitamura
1
1大阪逓信病院泌尿器科
1Dept.of Urology, Osaka Communication Hospital
pp.83-89
発行日 1958年1月1日
Published Date 1958/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202171
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緒言
近年悪性腫瘍の化学療法は頗る有望なる研究領域であることが判明し,癌組織と他の体組織との間に生化学的例えば酸素的に著明に異なる事を前提として,癌の臓器特異性化学療法も原則的に可能であることが予想されている。此の点前立腺癌は就中興昧ある対象として特別の地位を占めるものと思われる。10年前Huggins及びHodgesは前立腺癌に対するエストロゲン療法を報告し,爾来前立腺腫瘍に対する女性ホルモン療法は今や有効なる基準的治療となつた。而もエストロゲン療法には使用量其の他に於いて一定限界があり,軽快するが治癒に到らず屡々再発が免れ難いのみならず女性化現象,浮腫,減尿,中毒性肝炎等忌むべき副作用が必発する。
一方エストロゲンの前立腺腫瘍に対する作用機序は尚明らかでない。一般には所謂化学的去勢術として直接の抗Androgen作用及び間接の下垂体Gonadotrophin阻害作用が信じられているが,之に対しHuggins等は癌細胞自体の影響と見做し此の際癌細胞の代謝障碍と想像した。Druckrey等1)2)3)はこのHugginsの仮定を合成Stilbestrolをもつて実験的に確証し,遂に1952年合成Stilbestrolの有する強力な細胞分裂阻止作用を,選択的且つ高度に前立腺癌細胞に直接発揮せしめ得るに足る一新化学療法剤Diathyldioxystilben diphosphate(Honvan)創製に成功した。
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