増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅶ.専門外来の実際
前立腺腫瘍外来
賀本 敏行
1
,
小川 修
1
Toshiyuki Kamoto
1
1京都大学大学院医学研究科泌尿器病態学
pp.324-329
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902948
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1 はじめに
本邦での前立腺癌は欧米に比べてその発生頻度,死亡率はともに低いものの,近年その著しい増加が指摘されており,2015年には1995年の約3倍の罹患率になると試算されている1)。このような背景から,前立腺癌の集団検診や,人間ドックなどでのPSA(prostate specific antigen)採血が広く行われるようになり,また一方で,マスメディアにも取り上げられる機会が増えるにしたがって,人々の前立腺に対する関心や知識も高まっている。
当科では,従来から,主に前立腺肥大症患者の診断,治療,手術後の経過観察などを行う「前立腺外来」を設けており,十分な成果を上げてきている。また,1994年からは本格的に前立腺生検外来をスタートさせ,主に触知不能癌(Tlc癌)の発見に実績を上げてきた2)(図1)。実のところ,現時点では「前立腺癌外来」の形の専門外来は設けておらず,前立腺生検外来がその役割の一端を担っている。
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