Prednisone，Prednisoloneによる皮膚疾患治療成績—特にMetretonの効果に就て

THE THERAPEUTIC RESULT TO SKIN DISEASES WITH PREDNISONE, PREDNISOLONE

I．緒言

　Cortisone，hydrocortisone，desoxycorticosterone並びにACTHの導入によつて医学各領域に於ける治療は大きな転換を遂げたが，之等の薬剤が偉大な効果を持つ反面副作用も軽視出来ない事が明らかになつた。即ち水，塩類代謝，蛋白代謝に及ぼす影響であり，長期間の使用により胃腸障害，浮腫，moon face，高血圧，血管梗塞，更に消化器潰瘍，副腎皮質障害，精神障害等を惹起することが認められるに至つた。かかる副作用を伴わずしかも同等の効力をもつものの発見に多くの努力がはらわれ，1954年Herzog^1）等がPrednisone，prednisoloneの合成に成功した。これら副腎皮ホルモン誘導体は，好酸球減少試験の結果cortisone，hydrocortisoneの3〜4倍強力であり，副腎摘出ラットの肝グリコーゲン沈着試験，正常マウスの胸腺退縮試験でもglucocorticoid作用が遙かに強力である事が認められている。一方mineral corticoidの作用が殆んどなくNa，K等電解質不均衡による浮腫，心不全，更に前記の如き種々の副作用を伴わぬ量でcortisone，hydrocortisoneと同様の効果を期待出来る事が明かにされた。