動き
ドイツ通信(5)
関野 やす
1
1元横浜市大
pp.635-636
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200260
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スイスに行つてまいりました。Münsterlingen(am Bodensee)にはちようど3週間おりましたが,スイスのドイツ語は,とても聞きとれず,患者がみられないので,Dr. Roland Kubnから,少しばかり(少ししか学べなかったのは私の責任ですが)Daseinsanalyseのことを聞いてひきあげてまいりました。スイス人の気性というのは,ドイツ人のように大刀をふりかざしませんし,食事そのほか日常生活感情がわれわれのそれと似ていて,私にはheimischに感じられ,居心地がよかつたので,勉強さえできれば,もうあちこち浮浪しないで,ここにおちつきたかつたのでしたが,思うにまかせませんでした。
6月11日,12日とBaden-Badenで76. Wanderversammlung Südwestdeutscher Neurologen und Psychiaterと名のる学会がありましたので,これを見物に渡独する機会にMünsterlingenはひきあげてまいりました。Leitthemaは今年は"Die Zeit"で,この方面の大家Erwin Strausもアメリカから飛んできて一席やりましたが,第1日は主としてphilosophisch-psychologische Seiteからの講演で,これではたとえ日本語で聞いても理解できるかどうかあやしいところですのに,十人十様のドイツ語,術語でしやべるので,全然聞きとれませんでした。この学会でえたものは(?)上記の学会の名に反して全ドイツから集まつた大家連の顔ををおがんだことと,Göttingenに移る話がこのさいに決まつたことぐらいでした。
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