皮膚科図譜・73・74
Morphea-like Epithelioma/恥部貧毛症のホルモン療法
川田 陽弘
1
1東大皮膚科
pp.461-462
発行日 1957年6月1日
Published Date 1957/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201968
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76歳男。発病は約30年前。項に拇指頭大の硬結を気附いたが,自覚症状なく,表面にも異常を認めぬ為放置していたが,漸次増大するので,昭和31年5月当科に来院。項より髪際部,後頭部にかけ,直径約4cmの略円形の硬結をふれ,極めて硬く硬線維腫を思わしめる硬度で,周辺がやゝ堤防状に隆起,その表面に軽度の毛細管拡張あり,中心部は少しく凹み,幾分白色に見える。腫瘍の表面は発毛が粗(第1図)。試験切除片の組織検査では,表皮に特に異常なく,真皮乳頭下層より中層にかけて帯状に膠原線維の変性を認める。主変化は真皮中層より下層にかけて存する。即ち表皮細胞を思わせる細胞の集塊が多数散在し,多くは各集塊は3〜10コの核よりなり,円形,楕円形或は延長して索状を示す。管腔は認めない。この細胞の集塊の間には組織の硬化を認め,又エオジンで稍々濃く染まる索状物が多数散在し之は弾力線維染色で,変性せる弾力線維と考えられる。毛嚢は比較的よく残つているが,汗腺は僅かに認める(第2図)。以上の臨床症状,組織所見よりMorphea-like Epitheliomaと診断した。本疾患は英米に於ては比較的多くみれる様で,最近Caroは33例を集計,報告している(Arch.ofDermat.63,153,1951。
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