無月経，剛毛多発症を主訴としたStein-Leventhal症状群の1例

A CASE OF STEIN-LEVENTHAL'S SYNDROME

　両側性多嚢胞卵巣Bilateral polycystic ovariesはかなり以前より詳細に記載されていたが，一般にこの疾患は機能性の子宮出血を起すことが多く，無月経，或は不妊の原因となることはあまり注目されていなかつた。1935年にStein and Le-venthalが始めて月経異常，剛毛多発症，男性化症状等を伴う両側性多嚢胞卵巣に関する論文を発表して以来，Stein-Leventhal Syndromeとして漸く諸家の注目をあびるにいたつた。これまで欧米に於いてはかなり詳細な研究業績が報告されているが，吾が国では関心が極めて薄く，渡辺，佐々木，石原，山元・川島の論文を見るに過ぎない。吾々は偶々無月経及び剛毛多発症を訴えた患者で，開腹術により両側の多嚢胞卵巣を確認し，Stein-Leventhal Syndromeに該当すると思われる症例に遭遇したので報告する。