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テラプチクの泌尿器科手術に対する応用
稲田 務
1
,
後藤 薫
1
,
八田 栄造
1
,
ト部 敏人
1
,
三浦 武芳
1
1京都大学医学部泌尿器科教室
pp.1060-1064
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201853
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緒言
腰椎麻死酔による血圧降下,呼吸障碍,シヨツク症状等は,我々手術者にとつて最も不快な副作用である。そのために,あらかじめアドレナリン,エフエドリン,ネオシネフリン等の昇圧剤を用いて血圧を維持する様に努力が払われて来た。然るに近年に至りクロルプロマジン製剤による強化麻酔下に腰椎麻酔を行えば,自律神経反射を抑制することが出来,之によりたとえ血圧降下が起つてもシヨツクの発来を見ないから安全であると考えられるようになつた。我々も強化麻酔に腰椎麻酔を併用して略々それと同様の結果を得た(之に就ては別の機会に詳細発表する)。しかしその場合に血圧降下の程度が著しいために,やはりシヨツクを惧れてネオシネフリン等の昇圧剤を使用する場合も少くない。我々は最近強力なる呼吸循環器障碍除去作用を有する「テラプチク」をエーザイより入手し,斯かる場合に使用して満足すべき効果を得たので茲に報告する。
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