Japanese
English
綜説
「テラプチク」の脳血行に及ぼす影響とその臨床
The effect of Theraptique injection on the cerebral blood flow and its clinic
籏持 崇
1
,
勝又 星郞
1
,
高 舜深
1
,
淸水 雄
1
Takashi HATAMOCHI
1
1京都府立医科大学整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Kyoto Prefectural medical University
pp.683-686
発行日 1955年10月20日
Published Date 1955/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201686
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1.緒 論
我々は従来よりショックの研究に従事し.主として血行力学的の変動を各臓器に就て追究してきたが,之を要するにショックの本態は生体内血液分布の変動であつて,循環血液のtrapping(脱落)を生ずる結果,心搏出量が減ずると共に重要臓器への血液供給が減少し,かくて生命の危険を生ずると解されるのである.この際最も重要なるは脳髄であるのは言を俟たざる所であり,我々が最近特に脳循環に関する研究に従事してきた所以も茲に存する.かくて之が解明の鍵を握るものは脳髄を灌流する二大動脈,即ち椎骨動脈及び内頸動脈の血行力学的研究であつて,前者は主として延髄,中脳等脳幹部を灌流し,後者は主として大脳を灌流することは周知の事実であるが,就中,延髄,中脳等を灌流する椎骨動脈血流の良否は生命維持に対し最も直接的な関係を有し,之が悪化は直ちに生命維持に対し致命的な影響を与えるものであつて,ショックの危険閾は一にかゝつて之が血流の悪化に存し,又危険閾よりの脱却は該動脈血流の恢復を以て始めて可能である.この際内頸動脈血流は之と並行せずして乖離性を示すことが多いのは注目すべき事実であるが,之は両者が夫々その血行力学的性格を異にするためであろう.
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.