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皮膚リンパ肉腫症の1例
永松 春夫
1
,
竹村 広彦
2
,
桂 剛夫
3
1永松医院
2神戸中央市民病院内科
3神戸中央市民病院皮膚科
pp.1050-1053
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201850
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序言
1894年E. Spieglerは"Ueber die sogennanteSarcomatosis Cutis"なる標題にて自己の観察した6例の皮膚肉腫症を紹介し,合せて本症例より血液及び造血臓器に何等の変化の無かつた事及び臨牀上,組織学上発育の抑制と退行変性のみられた事の2つの事実を明かにしている。以後本症に関してはG. Tandler(1897),L. Merk(1898),Djiobek,Ladielans & E. König(1938),Perschmann(1952),Riehl(1952)等の報告あり,本邦に於ても土肥(1914),北村・田苗(1935),野村(1938),池上・山村(1951),後藤・笹岡(1953),寺井・増田(1954)等の記載がみられる。
こゝでリンパ肉腫に就て簡単に述べると本症の成因に関しては未だ定説をみないが素因が重要視されている。Sternbergは本症をIymphadenoiden gewebesの非定型的な悪性の増殖で,遅かれ早かれリンパ結節の被膜に波及し,隣接細胞組織に浸潤を来し,無制限な破壊的発育を示すものであるとしている。組織学上reticulum又は大リンパ細胞肉腫と小リンパ細胞肉腫(Iymphocytic type)とあり後者はmalignant lymphosarcoma(Ewing)とも呼ばれ,この方が悪性である。
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