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結核腎剔出後に於ける瘻孔防止の一對策に就いて
中村 家政
1
,
市村 平
1
,
高橋 等
1
1國立熊本病院皮膚泌尿器科
pp.406-409
発行日 1950年10月1日
Published Date 1950/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200405
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山來結核性疾患は一度化膿に陷ると其の感染の源が深部に伏在する場合は云う迄もなく,未だ感染が表層に止まるものも屡々術後の死腔に通じて遂には廣範なる難治性病巣に迄發展する傾向が頗る濃厚である。從つて手術の對象が大半かゝる結核性病變に關係の深い泌尿器科領域に於ては,其の對策にも常に愼重なる考慮が拂われているが,瘻孔の發生は依然跡を絶たない現状である。勿論ストレプトマイシン(以下スと略す)の登場に依つて本問題も一應完決の域に達し,その研究意欲は勿論豫後に對する緊要性も確かに半減せるの觀があるが,飜つて我が醫療の現状を覗うと,單に瘻孔防止の目的で本劑を自由に躯使し得る迄には猶可成りの時日を要するものと考えられる。かゝる現状より推定して,現在手輕に實施出來る範園内で更めて本問題を檢討することもあながち無意味ではあるまい。從來瘻孔に對する適確な治療法は皆無に近く,ペニシリン(以下ペと略す)等化學療法の進歩に伴つてその成果にも漸く曙光が投ぜられ‘貴驗的に或は臨牀的に本劑の效果が極めて顯著となつたことは周知の事實である。帥ち化學療法に依つて混合感染の防止或は撲滅を計ると之と在存する結核菌の發育は最少限度に阻止される事實は現今多数の文献的證左があるが,余等の得た年飴の檢素(1)に於ても瘻孔は掻爬術と化學療法との併用に依れば,その治療日數は著しく短縮せしめることが出來る(表1,)。
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