皮膚科図譜・65・66
色素性乾皮症に基底細胞癌と共に発生した惡化性黒色腫/老人性角化腫
川田 陽弘
1
,
中居 卓
1
1東大皮膚科
pp.667-668
発行日 1956年10月1日
Published Date 1956/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201775
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42歳農夫。両親は従兄妹。同胞4名中患者を含めて3名に色素性乾皮症あり。曽祖母にも同様の色素斑があつたと云う。5歳頃から身,頬,手背に多数の小色素斑を発生,30歳頃迄に殆ど全身に及ぷ。5〜6年前耳前上部に堤防状隆起を生じ,次いで浅い潰瘍化,昨年3月頃より左下顎角の稍々上方に黒色の腫瘍を発生。第1図は入院時所見。全身殊に露出部に色素著明に増加し,小色素斑,小色素脱失症を多発,左耳前上部に2×4cmの堤防状隆起あり,中心浅い潰瘍を形成,左下顎角部に2×2cm,有茎性の黒色腫瘍あり,出血し易く,周囲に潮紅及び浸潤を認める。組織学的に前者は基底細胞癌,後者は策2,3図の如く黒色腫で,Dopa反応陽性。第4図は腫大せる左顎下腺の摘出標本で,割面黒色を呈し,組織学的にも無色腫の転移を示す。治療として両腫瘍にカルチノフィリン局所注射及びラドン針挿入を施行,黒色腫は脱落,その跡の潰瘍は基底細胞癌の潰瘍とともに少しづゝ縮小しつゝある。
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