Japanese
English
研究と報告
Nialamideの比較的大量投与による治験
Clinical Effect of Nialamid with Regular Administration of High Dosage.
武村 一郎
1
,
児玉 久
1
,
平井 宏之
1
,
高畑 長吉
1
,
佐々木 誠
1
I. Takemura
1
,
H. Kodama
1
,
H. Hirai
1
,
N. Kohata
1
,
M. Sasaki
1
1広島大学医学部精神神経科
1Department of Neurology and Psychiatry, Hiroshima University, School of Medicine
pp.77-82
発行日 1963年1月15日
Published Date 1963/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200522
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I.まえがき
うつ病ないし各種うつ状態に対する薬物療法はめざましい進歩をみたが,中でもMAO阻害剤はIproniazid,Pheniprazln,Isocarboxazidと開発され,とくにNialamideは副作用の軽微なることが明らかになつた。本剤は化学名が1-2-(benzyl-carbamyl)-ethyl-2-isonicotinoyl hydrazineであり,外国ではすでに1959年リスボンにおいて本剤のシンポジウムが開催され,抑うつ作用のほか,多数の薬効が報告された。しかしわが国における本剤の研究は乏しく,わずかに林,那須の2件しか認められず,しかもその投与法としては,Herck以外はすべて他の抑うつ治療剤使用におけるごとく,漸増漸減または少量維持法しかとらず,かかる方法は薬剤の副作用を勘案するに重要であるが,本剤については,すでにそういう投与方法にもとづく多数の報告があり,しかも従来の方法では,副作用の少ないことが強調されているため,今回われわれは可能なかぎり初回より比較的大量を持続投与し,経過により漸減する新しい方法をとり,本投与法による著効性,有効性をきわめ,他面予想される急性大量投与時の副作用の状態をとくに重点的に観察した。
今回の研究は,例数において不満足であるが,一応の知見をえたので,ここに報告する。なお本研究のNialamide(Niamid)は台糖ファイザー株式会社の好意により提供を受けたものである。
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