--------------------
女性の髭状色素沈著症に就いて
野村 一
1
,
村田 衞
1
1青森県立中央病院皮膚科
pp.237-239
発行日 1955年4月1日
Published Date 1955/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201407
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえかき
今夏7月から8月の僅か2箇月間に,女性の顔面色素異常を主訴とする患者20名を診察する機会に恵まれた。是等の人々は孰れもひとしく,男性の髭発生部位と同じ筒所に,髭のような色素沈著を発生したものである。恰も墨汁を髭状に,いたづら半分なすりつけたような状態である。よく注視しなければ,その存在の不明なものから,一見立派な髭と間違う程度の完成期のものもある。即ちその著色の濃淡はまちまちである。かような色素沈著がうら若い女性に発生した為め;患者は羞恥の念から頗る内気となつて,全く気の毒であった。是等の内には肝斑を伴う者もあるが,極めて少数であり,髭状色素沈著のみの患者ほ殆んど大多数を占めている。
著著の1人野村は数年前,嘗つてかような女性を診察して之れを治癒せしめた経験があるから,この場合本疾患にすぐ気付いて,その対策を講ずることができた。只毎日のように陸続と患者が来院するのには一驚した次第である。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.