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後天性局所性無汗症の1例
堀 金登世
1
,
白川 雅己
1
1神戸医科大学皮膚科泌尿器科教室
pp.476-478
発行日 1956年7月1日
Published Date 1956/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201727
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所謂無汗症或は発汗欠乏症と唱えられるものには,外胚葉性形成異常の1症候と考えられる先天性無汗症と,正常の発汗機能を有していたものが,ある時期をかくして発汗減少乃至消失を来たす後天性無汗症の2つに大別される。後者には多くの皮膚疾患たとえば魚鱗癬,乾癬,色素性乾皮症,天疱瘡等の病変皮膚にみられる症候性の発汗障碍や,尿崩症,糖尿病,慢性腎炎,チフス等の全身性疾患に随伴しておこる無汗症があげられ,又脊髄空洞症,癩等の中枢又は末梢神経障碍の場合にもみられる。尚温熱性無汗症,熱帯性無汗性体質,汗潴溜性症候群と呼ばれる,高温高湿下の環境下で発汗障碍を来す疾患があるが,之は角質栓塞物が汗腺口を閉鎖して,汗の排泄及び蒸発をさまたげるものとされている(Sulzberger)。発汗の消失が広く全身に及ぶ場合と局所性の場合とがあるが,先天性外胚葉欠損性無汗症及び全身性疾患による発汗中枢の障碍が予想される場合は全身性,皮膚病変或は末梢神経性疾患によると考えられるものは局所性のことが多いのは当然であろう。
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