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パンドリール・ピィ(Pandryl-P)の治療成績
川村 太郎
1
,
近 小彌太
1
1金沢大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.321-323
発行日 1956年5月1日
Published Date 1956/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201686
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著者は富山化学工業株式会社から提供を受けたPan-dryl-Pを蕁麻疹及び湿疹を主とする41例に使用したのでその成績を報告する。
吾人のアレルギー性疾患に対する洞察は,実験室に於ける,アナフイラキシー現象の研究に依存する所が少くない。アナフイラキシー現象の際,先ず体内で抗原抗体反応が起り,その結果生じた有動物質の作用に困つてアナフイラキシー症状が起ると考えられている。斯かる物質としては目下最も有力視されて居るものは,ヒスタミソ,及びアセチルコリンである。そしてヒスタミン乃至アセチルコリンに対して拮抗する物質を使用してアナフイラキシーを防止することの可能なことも広く知られて居る。アレルギー性疾患の発症機序はアナフイラキシー現象と多くの共通点を有するとは云え,其処に自律神経,内分泌その他の個体側の要約が影響し,稍々複雑性が加わるものであろう。然し乍ら此処に於ても亦多くの臨牀経験に依れば屡々抗ヒスタミン性乃至抗アセチルコリン性物質即ち抗アレルギー剤が奏効するものである。抗アレルギー剤の多くは同時に抗ヒスタミン性と抗アセチルコリン性との両作用を併せ有するものであるが,その両性格の量的比率は,夫々の藥剤に依り区々である。そして抗ヒスタミン性と抗アセチルコリン性とを適度に兼具えた藥剤を薦める学者が少くない。
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