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バラマイシン軟膏の慢性尿道炎に対する応用
晒 義広
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1紀南病院皮膚科泌尿器科
pp.232-234
発行日 1956年4月1日
Published Date 1956/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201661
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I.緒言
ペニシリンが発見せられてより以後,続々と新抗生物質が発見せられ,そのため急性淋疾の治療が実に容易になり,淋疾も消滅すべき運命にあると思わせられたが,結核に対するパス,マイシン等の化学療法と同じく,激しい症状の患者が消え去つたが潜伏性の治療の長びく患者が増加し,慢性淋疾,並に非淋菌性尿道炎又は淋菌性尿道炎後遺症としての淋糸,尿糸の排出,並に疲労飲酒後の局所の蟻走感,掻痒感,起床時の外尿道口の閉塞等の自他覚症状のみをもつ患者が非常に増加し,これが刻策として抗生物質,サルフア剤等の全身化学療法以外に,再び往時にかえつて局所療法が注目され出した様であり,ペニシリン,アクロマイシン,テラマイシン等の水溶性抗生物質が尿道注入せられたり,ペニシリンの前立腺内注射方法などが行われている。
私は今回1954年Waksmannの発見にかゝるNeomycin,1943年Meleney等の発見にかゝるBacitracinの合剤であるBaramycinを小野藥品より提供を受け,慢性淋疾,並に漫性非淋菌性尿道炎患者に対して,本剤の局所注入を行い見るべき成績を得たので報告する次第である。
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