Japanese
English
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尿道坐薬による尿道炎の治療
TREATMENT OF CHRONIC URETHRITIS WITH FURATHIN URETHRAL SUPPOSITORY
菅原 光雄
1
,
細井 儀三郎
1
Mituo SUGAWARA
1
,
Gisaburo HOSOI
1
1弘前大学医学部皮膚科泌尿器科教室
1Dermato-Urological Department of Hirosaki University, Aomori
pp.403-406
発行日 1962年5月1日
Published Date 1962/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203274
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I.緒言
嘗つては,尿道炎の王座をしめていた淋疾の治療が,サルファ剤或いはペニシリンをはじめとする諸種抗生物質の進歩普及により極めて容易なものとなつた反面,所謂非淋菌性尿道炎増加の傾向が全国的に指摘され,著者の一人細井の調査せる当教室創設以来14年間における尿道炎の統計によつても,非淋菌性尿道炎患者は昭和28年以降は急激な増加が認められており,その治療は近年における重要な課題として取り上げられている。
元来,非淋菌性尿道炎の発症病因には,種々の複雑な因子が挙げられており,増加の原因も多岐に互ることが考えられるが,当科における非淋菌性尿道炎患者264例のうち既に他医の治療或いは自宅療法が行われているものは202例76.4%の多きに達しており,特に自宅療法に於けるペニシリン其他の抗生物質の乱用が薬剤耐性菌株出現或いは菌交代症の問題等と関連して,非淋菌性尿道炎増加の一因をなしているものと推憶される。最近,尿路感染症に対しサルファ剤,抗生物質とは作用機序を異にし,耐性菌にも奏功するものとしてニトロフラン系化学療法剤が登場しているが,1956年Willcox2)は非淋菌性尿道炎の局所療法にニトロフラゾン尿道坐薬を応用して,良効を得たと報じている。著者等はWillcoxのそれと類似の尿道坐薬を試作して難治性の非淋菌性尿道炎に使用し,有効性を認めたので以下に報告する。
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