皮膚科図譜・60・61
汎発性黒子症/癌を併発した色素性乾皮症
笹川 正二
1
1東大皮膚科
pp.173-174
発行日 1956年4月1日
Published Date 1956/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201645
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9歳の男児。両親,同胞に雀卵斑或は黒子の特に多い者はない。生下時大型の色素斑が数個あつたが,黒子はなかつたという。生後1カ月目,乳児褐気の後全身に小色素斑が散生,漸次増数して現在に及んだと云う。顔面,被髪頭部,頸部,胸腹部,背部,上下肢に稗実乃至米粒大,皮膚と同高乃至僅かに隆起した褐色乃至黒褐色,類円乃至類橢円形,時に多少角ばつた不規則形のものもある色素斑が播種状に散らばり,顔面には稍々淡色のものが他部に比してより稠密している。左下腿,右上臆,右腕関節部,背部に不規則形,他より遙かに大型の色素斑の少数が見られる。口唇,口腔粘膜健常。患児は全体として色ぐろの少年で,臍下正中線にLinea fuscaが判然している。組織所見として,表皮突起梢々延長,基底細胞層に色素増加してKernkappenbildung著明,これに比較すれば遙かに弱いが有棘細胞も亦色素を含む。
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