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脂肪肉芽腫の2例
伊崎 正勝
1
,
沼田 良七
1
1中野組合病院皮膚科
pp.113-116
発行日 1956年3月1日
Published Date 1956/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201633
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臨床的に結核或いは悪性腫瘍等を疑わせる皮下結節の中に,組織学的検索により脂肪組織に,腫瘍ではなく,結核或いはその他の特異性肉芽形成炎と明らかに異なる,一種特異な肉芽腫性組織像を示す病変がある。此のような脂肪組織の肉芽腫に対して脂肪肉芽腫の名称が与えられ,欧米ではAbricosoff(1926)の発表以来lipogranuloma,lipophage granuloma(lipophages Granulom),nodular panniculitis等として記載され,多くの臨床家,病理学者の注意を惹いている。
脂肪肉芽腫の原因,発生機序等は尚不明であるが,脂肪組織に於いては何処にでも発現し得るわけで,殊に皮下脂肪組織に多く見られる。Weber-Christian病は其別名Relapsing febrile non-suppurative nodular panniculitisからも伺える如く,皮下脂肪組織に脂肪肉芽腫が全身症状を伴つて発生した場合である。私共は全身症状を伴わないで脂肪肉芽腫の発現を見た2例を経験し,興味ある組織所見を得たので茲に報告する。
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