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新抗生物質Estin及びBHCによる白癬の治療成績
帷子 康雄
1
,
斉藤 佳雄
1
,
島 多門
1
1東北大学医学部皮膚科教室
pp.109-111
発行日 1956年3月1日
Published Date 1956/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201632
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白癬の治療剤として多数の合成物質,抗生物質が逐年出現し,試験管内成績並に臨床治験に関する報告が相継いでいる。
我々は今回新抗生物質エスチン及びBHCを主成分とする藥剤ポン(東北共同化学)を白癬に試み,同期間に行つた他の2,3抗白癬剤の臨床成績と比較検討したので報告する。エスチンは1951年小松氏(三菱化成)によりはじめてPenicilliumestumより分難された抗生物質で,僅かに黄色味のある微細柱状結晶で分子量383,融点219〜221℃,アセトン,クロロホルム,ヂオキサンに易溶,アルコール,醋酸エチル,エーテルに可溶,水に難溶,生物学的性質は細菌及び糸状菌に対し第1表に示す様な抗菌力がありグラム陽性菌には強い抗菌力を示すが,グラム陰性,抗酸性菌に対する阻止作用は余り強くなく,一般の糸状菌に対しては抗菌作用は微弱であるが,白癬菌には特異的に作用し中等度の抗菌力を有す。毒性試験では体重15gのマウスに5〜10mg経口投与しても致死作用は認められない。安定性はアセトンに溶かしSörensen緩衝液にて100γ/ccに稀釈,100℃加熱した場合P.H6の1/15M燐酸緩衝液で最も安定で冷所に保存すれば少くとも1ヵ月は殆んど力価を失わないが,アルカリ側では甚だ不安定である。
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