医学のあゆみ・24
“炭素7つの環”の物質—コルヒチンとヒノキチオール
杉 靖三郞
pp.41
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909408
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タネナシスイカや,おばけのようなカボチヤ,とても甘いテン菜などめずらしい生物の変異をおこさせる“魔法の藥品”として,コルヒチンというものがある。このコルヒチンは,昭和20年(1945)ころイギリスの化学者ジユワー博士が研究して,青カビ(ペニシリンをつくるカビ)の生産物に作用し,また細胞の染色体に著しい変化を与えることがわかつた。この染色体に変化を及ぼす作用を利用して上のような植物の品種改良に応用され,多大の成果をあげた。
また,これは,細胞の増殖を阻止する作用があるということがわかり,細胞の異常な増殖をするガンに対しても,治療的効果の可能性が考えられ,多くの学者の協力の下に,研究がすすめられてきた。
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