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8-Azaguanine疹例
三浦 祐晶
1
,
中込 良夫
1
,
恩村 恭平
2
1北大医学部皮膚科教室
2北大医学部第三内科教室
pp.609-611
発行日 1955年8月1日
Published Date 1955/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201481
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緒言
悪性腫瘍の化学療法に関しては,今日多くの努力が払われているが,その研究の一つの方向として,腫瘍細胞の新陳代謝に不可欠な物質に拮抗する物質(Antimetabolite)を利用する方法がある。悪性腫瘍細胞は,発育が旺盛で有糸核分裂をともない,従つて核酸合成に重要な役割をしているプリン体の需要が高まつていると老えられるが,その内のグアニン系化合物の異種同型化合物が,核酸の生成或いはその作用を阻害することが知られて,この方面の検索が行われて来た。8-Azagu-anine(Azan)は,Guanineの8位の炭素をNに置換した化合物であるが,このものがKidder等により最も強力なプリン代謝阻害物質であること,又マウスの腺癌及びlymphoid leukemiaに対して発育抑制作用があることが実験的に明かにされて以来,幾多の実験が行われ,又臨牀的にも使用されて,臨牀症状の改善,腫瘍の縮小を認めた報告が相次で発表されると共に,他面,種々の副作用も亦観察されている。我々は最近Azan投与によつて著明な皮疹を来した1例を経験したので,茲に記述したいと思う。
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