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弧立性腎嚢腫の1例
有木 亮
1
,
牛尾 博昭
1
1日本医科大学齊藤外科教室
pp.379-383
発行日 1955年6月1日
Published Date 1955/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201446
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緒言
腎臓に発生する嚢腫は17世紀の始めJabry及びThomas Willisにより記載せられ,1850年Hareにより始めて手術例が報告された。続いて1876年Laveranが多発性のもの(嚢胞腎)と弧立性のものに分類し,単独の疾患として弧立性腎嚢腫を区別記載した。前者は実質が大小多数の嚢胞に変化し破壊が著しい,之に反して後者は単房性で(時に2,3個の嚢腫形成をみるが,互いに関係なく別個に発生する),腎盂・輸尿管とは関係なく発生し,腎実質とは結合織性の隔壁でへだてられるものであつて,何れも比較的稀有な疾患であるが殊に後者は,川島1)が17例(昭和7年)を,安井2)が33例(昭和17年)の本邦報告例を一括記載している通りその数は極めて少い。私達は最近上腹部の腫瘤を主訴として来院し腎摘出により治癒せしめた比較的大きな弧立性腎嚢腫の一例を経験したので,本邦文献から蒐集した52例の臨床的な統計とともに報告する。
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