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顏面播種状粟粒性狼瘡の病理知見
野村 一
1
,
村田 衞
1
1青森県立中央病院皮膚科
pp.313-316
発行日 1956年5月1日
Published Date 1956/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201684
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Ⅰ.まえがき
皮膚科領域の結核は,わが国に於て従来比較的稀有なものであつた。是れは各大学皮膚科教室に於ける患者統計に拠つても明かである。しかるに最近皮膚結核患者に時折接する機会が多くなつたと思う。敦れにしても皮膚結核の問題は頗る興味深いものである。現在のような化学療法の無かつた時代には,治療は殊の他面倒であり,従つて頗る困却した経験は決して忘れることはできない。只今では稍々自信を以て之を治癒せしめ得るところで進歩を遂げたのである。隔世の感とは之を謂うべきかもしれない。尚ほDarierのTuberculideは結核アレルギー性の疾患の総称であるが,その内に於て,顏面播種状粟粒性狼瘡(L.m.d.f.と略記する)の報告例は本邦に於て百数10例の多きに達している。しかもその組織学的所見は殆ど結核結節像を認み,且つ数例にあつては結核菌を組織中に証明している。尚ほ動物試験に因つて結核菌抗酸菌を証明した者もある。
最近,われらは本疾患の1例に於て組織学的に詳細検査したところ,偶然にも従来の所見とは全く異つた所見を得ることができたから,ここに之を述べてみよう。
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