皮膚科図譜・40・41
乳癌皮膚転移/汎発性石灰沈著症
上野 賢一
1
1東大皮膚科
pp.455-456
発行日 1954年8月1日
Published Date 1954/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201246
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75歳女子,約3年前左乳房内に腫瘍を生じ乳癌の診断の下に約2年間レ線照射(線質線量不明)を受く。約半年前より反対側右胸部に丘疹を生じそれが次第に増加して一部潰瘍化するに至つた。左乳房は瘢痕性に陥凹萎縮,両側腋腺触れず。写真の如く米粒大より大豆大に至る硬い丘疹乃至結節が主に,外観上,触診上健常な右乳房より内上方にかけて散在し一部痂皮,血痂を被むる。潰瘍化せるものはBasaliom様の外観を呈する。胸骨前部丘疹を切除,紅織学的に検索するに,乳頭下層より真皮深層にかけ,比較的境界明瞭な腺様構造を示す癌細胞の集団を見,乳癌皮膚転移と確定した。
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