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サリチルアミドにる依皮膚疾患の治療成績
川村 太郎
1
,
寺田 稔
2
,
入山 益四郎
,
阿部 敏子
1金沢大学医学部皮膚科泌尿器科教室
2富山市民病院
pp.197-202
発行日 1955年4月1日
Published Date 1955/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201396
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サリチル酸剤が極めて重要且用途の広い医藥品であることは改めて言う迄もない。例えば米国に於けるサリチル酸の年産は600万ボンドに及ぶ(T.Wegmann)という。サリチルアミド(ami-dumo-oxybenzoicum OHC6H4CONH2以下SAと略称)の知られたのは今から110年余り以前であつて,Baasに依つてはじめて臨牀的に使用されたのは1890年,即ちアスピリンのはじめて市販せられた(1898)より8年早い。1892年Nesbitは藥理学的並に臨牀的研究の結果,SAは当時知られていたサリチル酸剤中最も優秀なものであると考えた。1900年来,SAに関する一連の基礎的研究特にその麻酔作用に関係する研究が盛んに行はれている。猶は細菌学的研究の結果では殺菌作用はサリチル酸よりは劣るとされている。然し乍らSAに対する臨牀的興味は一時失われ,世界何れの国でも使用されない状態となつた(Doebeli)こともある。此の間にあつて本邦に於て,稲垣,小山,大道氏がサリチルアミドとアンチピリン又は同系物質との分子化合物の製造方法の特許を得ていることは却つて外国に知られている。著者等は吉富製藥のSA(サリアミン)を金沢大学医学部皮膚科泌尿器科及び富山市民病院皮膚科泌尿器科に於て試用したので此処に報告する。
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