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皮膚疾患のサリチルアミド(サリァミン)による治療
川岸 悦郎
1
1北海道大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.560-563
発行日 1952年11月1日
Published Date 1952/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200838
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皮膚科領域で從來ロイマチスムスと何等かの關係があると考えられる數種疾患の治療としては,ナリチル酸ソーダ,アスピリン等のサリチレートが慣用され可成りの效果を學げて來たが,不快な副作用の爲その十分量を使用し得ない場合が少くなかつた。處で最近はHench-Kendall(1949)がcortisoneを關節リウマチに使用して著效を認めてから,歐米では多形滲出性紅斑,結節性紅斑,エリテマトーデス等にもcortisone或はACTH等の新しい藥劑が用いられ可成り有效な事が指摘されるに至つた(H. T. Schupbach,S. Farber,H. Mandelbaum,L. J. Soffer)。然し之等の新しい藥劑による效果も少數の例外的報告を除くと多くは一時的で再發を兔れない。加うるに我國の現況ではその高價な爲未だ廣く一般に用い得られる迄に至つていない。
一體サリチル酸誘導體の一つであるサリチルアミドは1890年に見出されているが,醫藥としてとり擧げられたのはIsinowski & Hueper(1946),Hart(1947)の藥理學的な研究にはじまり,從來のサリチレートに比し鎭痛,解熱作用が強く且つ毒性の少い事が分り,Litter,Wegmannは更に之をリウマチ患者に用い卓效を收め,本邦でも最近長谷川,大平,上野等が關節ロイマチス,神經痛,筋痛等に有效な事を報告しているが未だ實験的段階を出でず一般に用いられる迄に至つていない。
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