研究
梅毒血清反応に及ぼす逆性石けんの影響
村田 以和夫
1
,
堀 幹郎
1
,
宮沢 貞雄
1
,
小野田 洋一
2
1東京都立衛生研究所細菌第2部
2東京都立台東病院泌尿器科
pp.1141-1143
発行日 1972年10月15日
Published Date 1972/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907784
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梅毒血清反応における生物学的偽陽性反応(BFP)の中には,共通の抗原に対する抗体による免疫学的活性の結果として起こるBFPのほかに,逆性石けんなどの物理化学的性質によって誘発されるBFPが存在することを,著者らは次に述べる実験成績から明らかにした.
(1)個体別血清において,カルジオライピンを抗原とするSTS陰性血清と不一致血清は,逆性石けんの終末濃度が最高1:12800まで偽陽性反応を示し,陽性血清は逆性石けんの混入濃度が1:12800より高い場合には,対照の成績と一致しないことがガラス板法で判明した.
(2)逆性石けんの混在により,緒方法は一様に異常反応を呈するが,遠心沈殿を行なって沈渣血球の有無により完全溶血と不溶血とを判定すると,陽性血清では逆性石けん終未濃度で1:38,400まで完全溶血を起こし,陰性および不一致血清では終末濃度1:153600より希薄なところに血球が残ることがわかった.
(3)プール血清については,ガラス板法とRPRカードテストで陰性血清はそれぞれ1:14400,1:28800の逆性石けん終末濃度まで偽陽性反応が出現した.陽性血清ではガラス板法の2系列(1:3600,1:7200),RPRカードテストの1系列が対照より1段階から2段階程度高く判定された.
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