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鼠蹊淋巴肉芽腫に基因せる直腸尿道屡の1例
足立 功
1
1北海道大学医学部泌尿科教室
pp.666-668
発行日 1954年11月1日
Published Date 1954/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201305
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緒言
一般に腸管と尿路の間の瘻孔は,イ)一方の悪性腫瘍が他方に増殖,浸潤して発生せるもの,ロ)炎症殊に憩室炎に由来する穿孔によるもの,ハ)外傷(手術的損傷を含む)によるもの,ニ)極めて稀には先天性畸形によるものとの四者に大別される。
尿道直腸屡に於ても理論的には此四者がある訳であるが,実際問題として其の大部分は,前立腺精嚢腺手術(殊に会陰式)に基因するものであつて其他のものは極めて稀である。我々は最近,鼠蹊淋巴肉芽腫のため肛門直腸症状を来し,更に直腸尿道屡を形成した興味ある1例に遭遇した。文献をひもとくと直腸尿道瘻の原因として,其の末尾に,鼠蹊淋巴肉芽腫をあげている報告も2〜3見られるが,其の記載は極めて稀の様であり(Wa-tson, Knapp:J.Urology.Vol.49,P.488,1943直腸尿道瘻統計中,わずか1例),又特に此の問題を主題とした論文は,之を見ない様であるので以下簡単に報告する事とする。
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