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腎結核に於ける尿中結核菌検出—チール法と螢光法の比較検討
笠原 敬二
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1日本医科大学泌尿器科教室
pp.209-213
発行日 1954年4月1日
Published Date 1954/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201181
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I.緒論
尿中結核菌検出は診断の目的のみならず,治療方針確立の為にも極めて重要なことは今更論を俟たない。然し乍ら従来結核菌検出に用いられたチール法の菌検出率は極めて低く而も諸家の報告も一定しない。50%内外から最高90%に至つているが,之は検査者の努力如何に起因する事が想起される。吾教室に於ける1)北川,馬越,岸の報告はこの点を明かにした。即ち普通の検査成績は49%であつたが,特に嚴重に検索を反復した場合には90%の陽性率をあげた。而も標本中に検鏡した菌量から比較すると,一枚の標本に於て容易に多数発見出来たものに於ては両者殆んど近似の成績であつたが,極めて菌の少ない場合に於ては格段の相違を示した。
Hagemannが1937年初めて螢光顕微鏡を結核菌検出に用いて以来,外国でも吾国でも広く研究せられ,その検出率がチール法より遙に優秀であることが確認され,次第に実用化されつつある。他方培養法により結核菌を追求する試みも現在広く実施されているが,腎結核診断の目的にはその所要日数の点から実用化されない。それ等の検出率に就ては一般に培養法が最も優るとされ,螢光法之に次ぎ,チール法が最も劣ると結論されている。
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