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持久性隆起紅斑の追加症例
佐野 榮春
1
,
加藤 晋造
1
1神戸醫科大學皮膚科泌尿器科教室
pp.26-29
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201132
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晩秋のある雨の日,皮膚科外來を若い娘が訪れた。年は20歳,女子大學生。色は淺黒くやゝ小柄で瘠せていて,野性の猫の様な感じがする。輕い尋常性痤瘡が目に入つたが,訴えはそれではなく「仲々治らないので困つているのです」とおもむろに靴下を脱いだ。
膝蓋部を中心に左右對稱的に數個の豌豆大から拇指頭大の扁平に隆起した紅斑を認める。形は圓形又は楕圓形で,色は淡褐色,古くて大きなものは紫紅色を呈する。一部膿疱化し痂皮をつける所がある。指でつまむと硬い。(第1圖)皮疹は約2〜3ヵ月前から發生し,始めは兩下腿伸側についで兩膝蓋部,足背,足蹠に及んだという。11月初旬には一部膿疱となり,淺い潰瘍部には痛みを訴える。經過は消退再發を繰返し現在に至るという。改めて他の部位をみると,兩足背,足縁には小指頭大の同様紅斑があり,一部相融合し塊状を呈し膿疱化及び痂皮形成が強い。(第2圖)上肢では兩肘關節部に夫々1〜2個の同様の皮疹を認める。口腔粘膜には發疹はない。齲齒が2本認められる。扁桃腺及び體表淋巴腺は腫れていない。
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