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Melanoma malignumに就て
山中 一淸
1
1京都府立醫科大學皮膚科泌尿器科學教室
pp.31-34
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201133
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I.緒言
惡性黒色腫は臨牀的に色調が黒色乃至深黒色を呈し,而も惡性度の高き事,組織學的に腫瘍の構造が複雑で,特に色素形成能を有する細胞の存在を以て特徴としている。
而して本症の歴史は古く,1806年Laennec1)が臓器組織の黒色病變に對して,Melanoseなる名稱を附し,之を癌の一種であると解したのに始まる。次いで1834年Müller1)はCarcinoma melano)desと稱して癌の一型と看做し,1864年Virchow2は肉腫の組織構造を有するもののある事を指摘し,本症を單純黒色腫,黒色癌及び黒色肉腫に分類した。而して單純黒色腫とは結締織中に色素細胞が腫瘍状に集つたものを云い,黒色癌と黒色肉腫とは主にその組織構造の所見に依り區別し,蜂巣状構造の明かなものを黒色癌とし,細胞間質が僅少で一般に肉腫に近い構造を有するものを黒色肉腫とし,而してこの間には兩者の移行型Carcinosarcomの存在を想察した。
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