特集 ホルモン研究の進歩
精液中果糖に就て
西村 隆一
1
1横濱醫科大學泌尿器科教室
pp.835-838
発行日 1953年11月20日
Published Date 1953/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201101
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諸言
精液中に酵酉母に依り醗酵され得る比較的高濃度の還元糖が存在する事は可成り以前から多くの人人に依り識られて居た。これ等の人は此の糖を或は葡萄糖となし或は又,單に精液中還元糖として報告した。山田氏(1933)は初めて精液中に果糖の存在することを指摘し,更にT. Mann(1946)は精液中の糖は葡萄糖ではなく,D(—)果糖なることを明かにした。
Pryde(1946)は人の精液中に於ける還元糖の濃度と果糖濃度とを比較し,人精液中の糖は恐らく總てが果糖であろうとした。Huggins and Johnson(1933)等は人の精液中の還元糖は精嚢腺に由來し前立腺よりのものではないことを報告し,Bernsteinr(1937)は牡牛に於いて,McKenzie,Miller and Baugess(1938)は牡豚に於いてMooreand Mayer(1941)は牡羊に於いて同様の事を觀察した。T. Mann(1946)は哺乳類の精液中果糖は主として精嚢腺の分泌に由來し精子の生活に必要なエネルギーを供給するものであると結論した。抑々男性ホルモン活性度及び副性器の機能状態の指示試驗には從來種々の方法が發表せられて居るがそれらは操作の點で或は又,感度の點で夫々缺點を有して居る。
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