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最近の淋疾に就て—殊に潜伏期間及び初發症状について
星子 未知男
1
,
中山 靖佐
1
1門司鐵道病院皮泌科
pp.692-694
発行日 1953年11月1日
Published Date 1953/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201079
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緒言
化學療法の分野は涯知らず展開しつゝあつて,一世を風靡していたSulfonamid劑も漸く評價し盡されて,その使用範圍も限定せられつゝあるのに反し,Penicillin或はその他新らたに發見された抗菌性物質による化學療法は,Sulfonamidを遙かに凌駕するものとして登場して來た。
殊に淋疾の化學療法について見ると,Sulfona-mid劑(以下ス劑と略す)が1938年創製されてから,淋疾の特効藥の如く宣傳されていたが,Ca-rpenter et alが初めて抗ス劑性淋疾の出現を提唱してから相繼いて諸家に依り,この問題に就いて研究が行われた。然しながら抗ス劑性淋疾は次第に其の數を増加して來たのであるが,之に對しPenicillin(以下ペと略す)の出現を見るに至り1934年Mahoneyが淋疾にペを使用して卓越せる効果を見,こゝに抗ス劑性淋疾は一應解決し,ペが最もすぐれた淋疾の治療劑として廣く使用されるに到つた。然るに最近先にス劑の時代に經驗したと同樣な問題が再び我々の眼前に擡頭して來たのである。既に細菌の抗ペ性の研究は數多く且廣範圍に亘つて行われて,他の抗生物質(オーレオマイシン,クロロマイセチン,テラマイシン,ストレプトマイシン,マイシリン)を使用し,抗ペ性淋疾の治療が報告されるに及んだ。
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