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ネスビット吻合を施行せる結核性萎縮膀胱の2例
並木 重吉
1
,
藤田 幸雄
1
,
上出 一郎
1
,
谷口 馨
1
,
近藤 孝保
1
1金澤大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.596-601
発行日 1953年10月1日
Published Date 1953/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201054
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尿管腸吻合術は第2次大戰以後各國とも盛んに行われるようになり,我國でも市川教授,楠教授をはじめ諸家の詳細な報告により啓發せられ,今日ではroutine operation化しつゝある。蓋し化學療法乃至抗生物質療法の普及によつて此の種手術の豫後が著しく良好となり,從つてそれを敢行することの臨床的意義が大きくなつたのでこの隆盛を見るに至つたものであろう。斯る情勢によつて從來報告せられた80餘種に達すると云われる吻合術式が再検討せられるに到つたがその結論はW.F.Leadbeiterのいう如く『現今行われているどの術式でも良い結果を得られるが,總ての症例に理想的な方法はない。』と云う方向のものである。即ちどの術式でも一應工合よくつながるが遠隔成績が各術式につきどう違うかということになつてくると專門家の間にも必しも定説は成立していないものの如くである。從つて現今最も重要な問題は異つた方法で得た結果を比較的公平な立場で比較してそれ等の優劣を決定することが必要であるわけであるが,そのことは割合になされていないものの如くである。斯る状況に鑑み比較的長く遠隔成績を追求し得た症例につき報告することは徒事ならずと思惟し,第16回關東北連合地方會(昭和26)及び第161回金澤地方會で報告した症例につきその後の觀察成績をも含めて筆をとつた次第である。
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