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後恥骨式前立腺剔除術に就いての一考案
中村 家政
1,2
,
市村 平
1,2
1國立熊本病院皮膚泌尿器科
2熊本大學
pp.331-333
発行日 1953年6月1日
Published Date 1953/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200979
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はしがき
前立腺肥大症の剔除術は恥骨上式,恥骨後式,會陰式に大別されるが,種々の變法が老案され優に十指を越える術式が産まれている。これは云う迄もなく前立腺肥大症が老人性疾患である爲に輕微な手術上の不備が意外に大きな負擔を患者にもたらし易いからである。最近では各方面に於て後恥骨式たるMillin法乃至はその變法が好んで用いられる。本術式は手術野が廣く,止血その他の操作が比較的容易で,而も術後恥骨上排尿管を要しないので切開創を一次的に縫合,閉鎖されて,恥骨上式に見られた缺點の大半が改善せられ,又會陰式に比べても術式が著しく容易な爲であろう。最近當教室で主として行つているHand-Sul-livan氏の後恥骨式の一變法は前立腺嚢の中央より縦に加えた切創を必要に應じて膀胱壁へ延長する所謂Prostato-vesical incisionをとる爲に剔出竝に爾後の操作はMillinの原法に比して一層容易となる。又本變法は腺腫の剔除に當つて膀胱内へ突隆する部分を膀胱粘膜と共に切除するので三角部に向つて腫瘤が發達している膀胱内肥大型intravesical formの場合でもMillin氏原法と異なり膀胱頸部粘膜との剥離を見ながら進め得る爲に容易且つ安全である許りでなく,術後の膀胱頸部に於ける瘢痕狭窄形成を防ぐことが出來る。
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