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右腋窩に限局せる淋巴腺細網肉腫剖檢例
陳 泮水
1
1日本醫科大學泌尿器科教室
pp.333-336
発行日 1953年6月1日
Published Date 1953/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200980
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細網内皮系統に發生する腫瘍様變化に就ては古くより多數の學者により觀察報告せられて居るが,1924年Komocki1)は67歳の婦人の鼠蹊部淋巴腺に原發し網状型に増殖する腫瘍の1例を報告し,之に細網腫Reticulomaなる名稱を與えた。爾來諸家に依り研究發表され,Oberling2)(1928)はEwing3)の骨髄性腫瘍の中に細網内皮系統より發生するものゝ存在を明かにし,始めて之を細網肉腫Reticulosarcomと命名した。爾後淋巴腺に於ける細網細胞より發生する腫瘍に關する業績は可成り多く,而して淋巴系統に原發する細網肉腫はRoulet4)に依って始めて一つの新しい腫瘍型として記載せられ,Rössle5)(1932),Oliveira6)(1937)等の詳細な追加報告があり,本邦に於ても昭和4年長與7)教授の最初の報告以來緖方8),赤崎9)教授等の詳細な研究がある。
淋巴腺細網肉腫は全身のあらゆる淋巴組織より發生し得るのであるが一般に頸部,扁桃腺,鎖骨上窩,鼠蹊部,後腹膜が好發部位とされている。從來の報告は何れも口蓋扁桃腺,頸部淋巴腺に原發した例が大部分であり,腋窩が原發部位である報告は比較的稀で本邦に於ては昭和17年永瀨10)の1例,同18年赤崎9)の3例を算えるに過ぎない。
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