泌尿器科圖譜・20・21
精糸腫瘍(繊維腫)/輪ゴムによる陰莖絞窄傷
山藤 政夫
1
,
今津 千輝
1
1慶大泌尿器科
pp.329-330
発行日 1953年6月1日
Published Date 1953/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200978
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患者:森某♂,18歳,店員。
主訴:左陰嚢部腫脹,既往歴,家族歴に特記する事はない。現病歴,約1年前より左陰嚢部が腫脹し腫瘍状のものをふれた。そのものは次第に増大し,特に2〜3週前より急に大きくなつた。自覺的には疼痛等を訴えない。觸診するに左側陰嚢部は全體に腫脹し,鼠蹊部より下方にかけ約手拳大の腫瘍を觸れる,球形で硬く,表面は平滑である。腫瘍の下方に睾丸を觸れるが觸診上著變はない。腫瘍との境界は判然としない。腫瘍の上方に,精管をふれる。肥厚等はない。丁度腫瘍中に入り込んでいる如くに觸れる。昭28,4,15局麻の許に,手術施行腫瘍と共に睾丸副睾丸共に摘出した。摘出標本は睾丸,副睾丸に變化なく,精管は腫瘍の下方を,血管は上方を走つて居り共に著變はない。腫瘍の大きさ7.6×5.8×5.2cm,重量187gr,組織學的所見は繊維腫(硬性)であつた。本腫瘍はその所在から考え總莢膜より發したものと考えられる。
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