特集 性病
性病に關する迷信
中野 操
pp.671-676
発行日 1952年11月10日
Published Date 1952/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200860
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ペニシリンやオーレオマイシン,テラマイシノン,クロロマイセチンなどの抗生物質による化學療法もによつて,大たい短時日で手がるく性病の治療がのぞめるといつた現代では,標題のような對句は,およそなりたたないのが當然であるが,往々にして抗生劑にすら抵抗する淋菌や徽毒スピロヘータがあつて,さんざん手こずらされることもあるのだから,患者の身になつてみれば,最新の靈藥またたのむにたらずとして,迷い苦しんだあげくが,萬事逆コースの世の中,思いもかけない迷信の復古調とならぬこともあるまいというもの。
編輯子が草蘆の中から小生如きをさがしだして,性病と迷信といつたような課題をあたえられたのも,實は十年先きを見とうす活眼のなせるわざだろうと,全く感じ入つた次第である。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.