発行日 1949年3月15日
Published Date 1949/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906440
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
お産に關する俚諺迷信は全國各地に存在して,地方的に共通のものもあり,又地域により特異性を持つているのもあります。私達が茲に蒐集した地域は病院所在地の川棚町を中心とした隣接町村であつて本地域は風光明媚な大村灣に臨み,昔時は半農半漁の寒村に過ぎなかつだのでありますが,支那事變を境として急激に新興し,軍都佐世保に近いだけあつて太平洋戰爭直前からの發展は目醒しいものがあり,戰時には戰災の難を免れたため罹災者の疎開地となり,終戰後は海外同胞の引揚基地となつて,從つて新しい來住者が増えて,現今では僅かに老人の口碑に殘る程度に影を潜め,且つ他地方のものも混同して來たのであります。
元來迷信というものは科學が幼稚であればある程旺んであつて,或時代には呪術,祈祷が醫療の全部でさえあつた位で,分娩も昔から疾病と同様の觀念のもとに取扱われた關係上種々の雜多な迷信が生れたものであります。
Copyright © 1949, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.