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幼兒後腹膜畸形腫の一例
高島 彰夫
1
1新潟大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.281-285
発行日 1952年6月1日
Published Date 1952/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200740
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一般に畸形腫の大部分は腹腔内に發生し,而も其の殆んど全ては生殖腺或は泌尿器系臓器に關係を有するのである。そして後腹腔に於て生殖腺,泌尿器系及び其の他の後腹膜臓器に無關係に發生した畸形腫は比較的稀で,文献上外國ではHow-ship(1871),我國では今(1904)の報告を嚆矢とし,爾來私が調べた處では66例を數え得るに過ぎない様である。更に臨床上,最初より後腹膜畸形腫と診斷される事は一層稀で,多くの場合は腹腔腫瘍,或は腎腫瘍の診斷で手術し,或は剖検されてから初めて本腫瘍が確認されるものである。
最近我が教室では,一症例に於てレ線像に於ける腎孟レ線像及び異常骨陰影から術前に後腹膜畸形腫の診斷を下し得た。私は茲にその症例を報告すると共に,畸形腫に關して,又後腹膜畸形腫の統計的觀察に就て述べたいと思う。
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