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所謂泌尿器科的特殊診斷法に關する1,2の疑義に就いて
中村 家政
1
,
市村 平
1
1國立熊本病院皮膚泌尿器科
pp.25-28
発行日 1952年1月1日
Published Date 1952/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200656
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緒言
結核性疾患に對する化學療法は最近著しい進歩を遂げ我が泌尿器科領域に於ても既にマイシン,パス,チビオン等多數の治效が報ぜられているが依然腎結核にとつては患腎の剔出が不可避の療法たるは今更贅言を要しない。從つて患側の判定,姉妹腎の健否等手術の適應を決する特殊泌尿器科的診斷には日常吾人の最も愼重を期する處であるが,膀胱鏡検査に依つて該病變の存在を推定される場合は尿管カテーテル法に依る兩腎別個の精細なる尿検査と同時に逆行性腎盂撮影法を施行すれば普通患側の確定もさして困難ではない。併し斯かる操作の實施困難な小兒や,既に高度の病變を呈する症例では本操作は勿論膀胱鏡に依る患側の推定すら必すしも容易ではなく,いきおい斯かる場合は經靜脈性腎盂撮影法によらざるを得ないが周知の如く本法はその影像が前者に比べると著しく鮮明度を缺く許りでなく,腎機能の低下につれて像の描出は一層困難となる大きな缺陥を見逃せない。Greenberger(1949)の報告に依ると腎剔出後8週以内に判明した27例の残腎結核の内16例は經靜脈法によつたことを報じ,本撮影法の缺陥を指摘しているが,著者等にも同樣の經驗がある。即ち術後1年以内に残腎結核の明となつた8例中6例は術前本法によつたものであり,其の内數例は残留腎の發病後兩所見を比較すれば術前既に健側の初期變化が推定出來る。
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