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Lupoid Baeckの1例
萩原 省三
1
1昭和醫科大學
pp.522-526
発行日 1951年11月1日
Published Date 1951/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200617
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Sarkoidなる病名は始めKaposiによつて學會に紹介され1種の傳染性炎症性新生物と考えられたが,1894年Spieglerは類肉腫の6例を報告し本症は結締織により明かに區劃され小圓形細胞浸潤のあること,良性で發育に或制限があり而も往々退行する等の點を擧げて尋常の肉腫と同一視しがたいことを説いた。1899に至りBoeckは同肉腫及び類肉腫なる症候群中より1症を抽出して,multiples benignes Haut-sarboidなる名稱を下し之を獨立した1疾病と看做すべき事を主張したFendtも亦類肉腫を研究し原因は恐らく傳染性のものであろうと推定した。Boeckの研究により彼が後にBenignes Miliar Lupoidと改めた同疾患に就ては臨牀並組織的に研め盡くされた觀があり而も彼は鼻粘膜に發生した類狼瘡に就て組織中にKoch氏結核菌と形態及び染色を等しくする桿菌を發見し又動物試驗により是が毒力,生活力の微弱な結核菌に原因することを明にした。Kyrleも組織體の動物移植に結核竈の發生を認め本疾患をTuberculosis cutis Typus Boeckと呼ぶべきを提議している。爾來歐米に於ては屡々研究報告されており,我邦でも1921竹谷氏が第1例を報告したに始まり,百瀨,古賀,荒川,遠山,渡邊,森山,内田,竹田,谷村氏等報告相つぎ殊に渡邊,森山氏は病變組織中に抗酸性菌を證明した。
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