--------------------
2・3脂肪酸の白癬菌に對する影響に就いて
萩原 省三
1
,
皆川 進
1
1昭和醫科大學皮膚科
pp.53-57
発行日 1950年2月1日
Published Date 1950/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200307
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
脂肪酸たるカプリン酸乃至ウンデシレン酸が白癬性疾患に用ひて治效がある事は,今次大戰中南方熱帶地方に從軍した米軍將兵によつて經驗され,戰時中及び戰後米國で之に關する研究業績が發表されている.我邦では北村(精)教授はカプリン酸が汗疱に效果のあることを疾く報じたが,山本(俊)教授の教室から之に關する臨床報告があり,同教授は20%のウンデシレン酸亞鉛軟膏を頑癬,斑状落屑性白癬,頭部白癬,汗疱状白癬に用ひて效果を認め,殊に手掌足蹠の汗疱に基く角質増殖性變化に著效があり,然も副作用は殆どなく其成績はクリザロビン劑乃至優秀な硫黄劑に匹敵する極めて優秀な治療劑であるとした.今年の皮膚科總會に於て廣島の伊藤,吉田兩氏はウンデシレン酸,10-20%は刺戟強く,0,25-2%のウンデシレン酸加ウイルソン膏として使用し白癬性疾患に視るべき效果があつた事を報じている.
余は昨夏以來ライオン油脂の好意によりカプリン酸を入手使用し臨床上效果のあることを確認したのであるが,更に第一工業製藥會社の配慮により,ウンデシレン酸をも入手するを得たので,兩者の生物學的及臨床的效果を比較檢討する事が出來た.(未だ研究途上にあるので)臨床成績は次の機會に讓り.先づ生物學的實驗結果の一部を爰に報告したい.
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.