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濕疹及び蕁麻疹に於けるアレルギー性疾患の遺傳關係に就て
金井 三郎
1
1東京大學醫學部附屬病院分院皮膚科
pp.314-317
発行日 1951年7月1日
Published Date 1951/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200543
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緒言
アレルギー性疾患の遺傳に關しては,氣管枝喘息に就て遺傳關係の認められる家系の存在することが早くから注目せられたが,その後更に枯草熱,偏頭痛,血管神經性浮腫,食餌性過敏症に於てもそれ等の患者の家系に遺傳關係の證し得るものゝ有ることが明かにせられた。1933年米國のCocaがAtopyなる概念を提出したのも,遺傳を主要條件の1つとするアレルギーに特に注目したからである。皮膚疾患に就ても濕疹,蕁麻疹等に於てはアレルギー性と認められるべきものが多く,且つそれ自身及びそれと他のアレルギー性疾患との間に,遺傳關係の少なからず存する事が指摘せられた。然しこれに關して我が國に於ては個々の家系例の報告が若干見られるに過ぎない。今般濕疹及び蕁麻疹の患者に就て所謂アレルギー性疾患に關する家系圖をとり,統計的に遺傳傾向の有無を調査したので,こゝに報告しようと思う。
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