〔Ⅰ〕綜説
アレルギー性眼疾患の相互關係
宇山 安夫
1
1大阪大學眼科
pp.1-3
発行日 1948年2月1日
Published Date 1948/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200215
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結核梅毒其他各種の傳染性病原は,日常接する眼疾患の主要なる原因をなして居ると申しても過言ではない。それは,斯る病原が生體に感染して,其臓器又は局所組織に,直接病竈を作るためでもあるが,生體内に於ける病竈の發生は,單に病原の感染に依る直接の障碍のみに歸することは出來ない。若し病原が,感染の當初初期病竈に於て,一擧に撲滅されないか,或は生體との闘爭が,相當長引いて居る時には,生體は之れに打ち勝つために,更に全身又は局所組織に,特種の變調を惹起して,病竈を治癒せしめる許りでなく,同一病原の再感染に對して,防禦する能力を獲得する。
然し斯る生體の防禦能力は,感染に應じて常に,迅速に完成されるものではない,完全なる防禦能力(免疫)の獲得される途上には,其能力の質及び量に於て,相當廣い範圍の動揺がある。斯る免疫完成までの過程に於ける,生體の防禦能力の變化,換言すると病原の再感染に對する,生體の反應能力の變化が,畢竟アレルギー現象に他ならない從つて,生體のアレルギー自身は,究極に於て,免疫完成に到達しやうとする,合目的性の現象であるが,其過程に於ける,生體内の異常反應は,屡々生體に有害なる病竈を形成する。斯様にして發生する,病變がアレルギー性疾患である。
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