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膿皮症の菌分離培養にクリスタルビオレツト添加血液寒天(Haxthausen)培地の使用
川村 太郎
1
,
笹川 正二
1
1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.140-143
発行日 1948年10月1日
Published Date 1948/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200103
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凡そ膿皮症の病竈から或菌株を分離し得たとする。それを病原菌と決定するには、その菌株を用ひて同樣の病變を實驗的に再現する等然るべき手續を必要とするとは雖へ、病原菌決定の第一歩は、病竈に存在する菌株を剰す所なく分離することから踏出されなければならない。膿皮症で先づ問題となるのは葡菌と連菌とであるが、葡菌は通常普通寒天を使用し、簡單に培養することが出來る。然るに連菌は葡菌が多量に共存すると、普通寒天上ではこれに壓倒されて發育しないこと稀でない。そこでこうした連菌を分離する種々の方法が案出されて居る。
例へばSabouraudの推奨するGriffon-Balz-erのブイヨン—ピペツト法。これは材料をブイヨンと共にピペツト中に吸込み、火焔封鎖して嫌氣性に培養、好氣性の葡菌を抑制しつつ任意的嫌氣性の連菌を分離するのだが、少量の連菌をも逃さぬ長所はあつても、培地が液體なる關係上聚落の數から連菌の絶對數量、葡菌との比率等を知る便の無い憾みがある。
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