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皮膚科と臨床生理學(I)
山本 淸
1
1東京慈惠會醫科大學生理學教室
pp.183-187
発行日 1950年5月1日
Published Date 1950/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200343
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筆者は生理學と臨床醫學との間に,今までよりも遙かに密接な關連をつけることを念願している.その意圖の下に敢えて臨床生理學(第1部)1)を印刷に附したのであつたが,それは内科に闘連した記述が主であつた.皮膚科や泌尿器科には殆ど經驗がないし,この領域に關係のある生理學的研究が乏しいために,到底まとまつた記載ができないと思つたからである.
しかし.皮膚,泌尿器が極めて重要な機能を分擔していることは今更いうまでもない.皮膚についていえば,觸,温,冷,壓,痛等の表在知覺の部位として感覺生理學上重要なものである他,體温平衡に關しては物理的體温調節の末梢器官として最も重要なものである.從つて皮膚の生理學的機能について,これらの面では實は極めて研究が豐富なのである.ただとれらの研究の對象なり結果なりが,臨床醫學としての皮膚科學と直接結びつく所が少い.從つて皮膚科領域の臨床生理學を書こうとしても,話題も少く系統的記述もおぼつかないのは止むを得ない.
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